税理士と弁護士との違いを解説!相続に関する相談はどちらにするべきか
税理士は税務の専門家、弁護士は法律の専門家であり、どちらも士業系の国家資格です。さまざまな資格の中で最難関・最高峰といわれています。相続など関連する業務も多く携わっており、相続に関する相談はどちらに相談したらよいのでしょうか?この記事では、税理士と弁護士の違いについて詳しく解説していきます。
「税理士」と「弁護士」について
税理士も弁護士も、有資格者でしかできない独占業務があり、多くの共通点がある法律系の資格です。
税理士とは
税理士には法律で定められた独占業務として「税務代理(納税者の代わりに税金の申告を行うこと)」「税務書類の作成」「税務相談」の3つがあります。
しかし、日常的にこの独占業務のみを行っているわけではありません。近年では、数字のプロとして会社経営のアドバイスや個人の生活設計のサポートなど幅広い業務を行っています。
弁護士とは
弁護士は弁護士法で定められた「すべての法律事務を職務とする」専門職です。
一般的には裁判書類の作成、刑事裁判の弁護人、民事裁判の代理人といった法律に関するすべての業務を行えます。弁護士資格がある場合、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士などのほかの士業も兼務することができます。
しかし、会計や税の知識は司法試験では問われないため、弁護士資格をもちながら税理士を兼務している先生はほんの一握りです。
弁護士と税理士のそれぞれ違うポイント
弁護士は社会において法律を守り、不正や法的な問題を防ぐ役割を果たしています。
日常生活の秩序を維持するために不可欠な存在であり、「法律トラブルを解決する専門家」として知られているのです。一方、税理士は税務の専門家であり、納税者に代わって税金に関連する業務を担当します。
納税書類の作成や税額の計算、確定申告など、税金に関わる多岐にわたる業務を行っているのです。税理士には法律で定められた3つの独占業務がありますが、近年では会社経営のアドバイスや個人の生活設計のサポートなど、幅広い業務を担当することもあります。
弁護士と税理士は専門分野が異なるように見えるかもしれませんが、実際には相続などの問題を解決する際には、両者の業務が関連してくるのです。相続の相談を弁護士にもちかけると、相続税や贈与税の問題などが発生する場合もあるため、一定の関連性があるといえます。
また、弁護士と税理士になるための取得方法や資格にも違いがあるのです。弁護士になるためには、4年制の大学を卒業後に法科大学院に進学するか、司法試験予備試験に合格する必要があります。
一方、税理士になるためには、大学で法律学や経済学を履修するか、税理士事務所で2年以上勤務するか、簿記兼検定1級に合格するなどの複数の方法があるのです。
相続関係は、どちらに相談するべき?
相続税の相談をする場合は、まずは相続について大きな紛争がない場合、税理士に相談することをおすすめします。
なぜなら、税理士は税金に関する専門知識があるからです。税理士は遺産分割協議を主導することはできませんが、「遺産をこのように分けると税金面ではこうなります」というアドバイスをしてくれます。
税理士は相続人全員に対して対等な関係で話し合いを進めるサポートを行ってくれるでしょう。しかし、相続に関して本格的な争いや紛争がある場合は、税理士ではなく、相続に強い弁護士に依頼して解決することをおすすめします。
弁護士は依頼者の代理人として活動し、法的手続きや訴訟に関わるサポートを提供するのです。相続に強い弁護士に依頼する際は、弁護士が専門的かつ適切なアドバイスを提供するかを注意深く確認することが重要でしょう。
相続に詳しくない弁護士の場合、依頼内容を充分に理解せず、単なる文書作成にとどまる可能性があるため、後々トラブルや思わぬ高額な相続税などの問題が生じるかもしれません。遺言の内容に異議がある場合も、弁護士へ相談することが適切です。
法律では兄弟姉妹以外の相続人に最低限の相続を認める遺留分が定められています。もし遺言の内容が遺留分を下回っている場合は、弁護士を通じて遺留分侵害請求を行うことができます。
いずれの場合でも、相続税の問題を避けるためには税理士と弁護士の連携が重要となります。相続問題の解決には、適切な専門家との協力が欠かせません。
まとめ
ここまで読んで、税理士と弁護士の違いについて理解したことでしょう。法律や税金に詳しくない場合、相続に関する相談でどちらに頼めばいいか迷うかもしれませんが、決して一方に決めつける必要はありません。相続問題はケースバイケースで異なるため、状況に応じて双方と上手にコミュニケーションを取りながら解決していくことが大切です。相続税や遺留分などの税金面については税理士に相談し、本格的な争いや法的手続きが必要な場合は弁護士に依頼するなど、専門家の意見を仰ぎつつ適切な対応を取りましょう。円満な相続問題解決のためにも、専門家同士の連携が重要となります。