インボイス制度って何?相談は税理士にすればいいの

公開日:2023/07/15  最終更新日:2023/06/01


令和5年10月にインボイス制度が開始されることで、納税のルールが変わります。その一方で、インボイス制度を聞いたことはあっても、具体的な内容やどのような制度なのかわからないという方もいらっしゃるかと思います。ここでは、インボイス制度の概要とどのような事業者が影響を受けるのか、導入するための準備や相談先など解説します。

インボイス制度とは

インボイスは、「適格請求書」のことです。正式名称は「適格請求書保存方式」で、令和5年10月から発行する請求書を指しています。事業者にとって商品の販売や事業用の資産売却、事業のために行った場合の売上げに関しては、課税売上として消費税の対象となります。

一方商品の仕入れや事業用資産の購入、備品購入など事業のために仕入れに関しては、課税仕入れの消費税となり、課税売上げの消費税から課税仕入れの消費税を差し引いた金額を税金として納付することになっていました。今までは課税仕入れにかかる消費税の控除を受けるために、請求書や帳簿の保存が必要となっていましたが、この控除を受けるために一定の要件を満たした適格請求書が必要となります。

適格請求書、つまりインボイスの発行ができるのは、税務署へ申請を提出し審査・登録を受けた「インボイス発行事業者」に限られています。適格請求書は、発行する事業者のインボイス登録番号と税率ごとの消費税など税率の記載が必要です。課税事業者は免税事業者に対して適格請求書を求めることになり、インボイス登録をしていない事業者は敬遠されてしまう可能性があります。

インボイス制度の影響を受ける業種は?

インボイス制度の影響を受けるのはどんな事業所でしょうか。個人事業主や中小企業は無関係だと思いがちですが、今まで免税されていた事業者ほど大きな影響を受けます。取引先が消費税申告している課税事業者とするならば、インボイスの発行を求められるようになります。

インボイス制度を理解せず、放置して今まで通り免税事業者のまま会社運営をしていると、大きな取引先を失ってしまうリスクも生じるでしょう。課税事業者は消費税の納付を少しでも抑えたいはずです。税額控除ができる適格請求書を発行する事業者との取引を行いたいと考えます。免税事業者のままでは、今まで通りの条件で取引を続けられなくなる可能性があるでしょう。

また、フリーランスなどの個人事業主と業務委託契約している会社にとっては、インボイス制度の対応をどうするか早めの対策をするとよいでしょう。免税事業者であった方が課税事業者となれば、免除されていた消費税を払わなければなりません。登録をすることは難しいといえます。課税事業者となるメリットの提示などをすることでスムーズな登録申請が行えるでしょう。

ただし、どうしても登録が行えないといった場合でも、免税事業者からの課税仕入れについて経過措置を設けています。制度開始の2023年10月から2026年9月までの3年間は80%の控除が可能です。2026年10月から2029年9月までの3年間に関しても50%控除可能となり、6年間の控除措置があります。この期間をうまく利用することで免税事業者との取引を柔軟に進められるのではないでしょうか。

インボイス制度導入の相談先は?

インボイス制度の内容をここまで解説しました。では実際に、どのようにして導入したらよいのでしょうか。

適格請求書に記載される項目はなにかなど、正しい請求書を作成しないと取引先にとっても迷惑がかかってしまうことになります。請求書作成に係る事務作業に負担がかかることになるでしょう。適格請求書を発行した業者が登録番号を間違えている場合もあるため、公表サイトで確認することも必要となります。制度が始まる際には、必ず必要な確認作業です。

新しい取引先に関しても必ず確認するようにしましょう。間違えた番号の場合、仕入税控除ができなくなる可能性もあり、請求書を再発行してもらうにも手間がかかるため、最初の時点で行うことが重要です。一般的に、備品の購入、交際費などすべての経費において適格請求書が求められます。事務担当者は請求書、領収書など発行されるたびに、適格かどうかの確認をしながら経理作業をしなくてはなりません。適格請求書の発行もそうですが、経理作業にも負担がかかります。

簡易課税制度とは

もし課税売上げが5,000万円以下であれば、簡易課税制度というものが適用されます。これは、業種によって設定されているみなし仕入れ率で課税仕入れ額の概算ができる制度となっています。課税売上げに対する消費税額を集計するという方法で消費税額の控除額が計算でき、事務担当者にとっての負担も軽減されます。

この制度にも届出が必要となります。インボイス導入には届け出や請求書の書き方、また、控除になる制度などわからないことや注意点などがあります。課税事業者はもちろん、個人事業主、中小企業も含め自分たちで制度を理解することにも限界があります。会計事務所、税理士事務所に相談することで、申請の仕方や事務作業を軽減するアドバイスをしてくれるでしょう。

まとめ

インボイス制度について解説しました。インボイスの登録は免税事業者にとって消費税を納税することになるためなかなか登録できないといったことがあります。しかし、登録することで取引先を失うリスクが少なくなります。課税対象者の納税の負担も軽減されるでしょう。また、会計事務所や税理士に相談することで控除可能な制度の利用や事務作業の負担を少なくできます。インボイス制度の内容を知り理解することが大切なことです。

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