「税理士」と「会計士」って何が違うの?比較しながら解説
税理士と会計士はどちらもお金に関する職業で、似たようなイメージから混合されがちです。しかしこの2つは、仕事内容やクライアント、試験制度などに大きな違いがあります。本記事では、税理士と会計士のそれぞれの特徴から違いについて詳しく解説します。何か相談事があった時のためにも理解しておきましょう。
「税理士」とは?
税理士とは税金に関する専門家であり、主に税務関連を中心に活躍しています。税務代理、税務書類の作成、税務相談など、業務は税金に関するさまざまな領域におよびます。
税理士は納税者が法令にもとづいて正確かつ適正に税金を納めることをサポートし、企業や個人事業主に対して税務処理や納税に関するアドバイスを受けることが可能です。専門知識は税法や会計、経済にわたり、税金の複雑な問題に対処する力をもっています。
税理士のクライアントは企業規模に関わらず、広範な範囲におよび、個人から大手企業まで、さまざまなクライアントに税務サービスを提供しています。
税理士は異なる業種や規模のクライアントに対応する柔軟性が求められる職種です。クライアントとの信頼関係を築きながら、最適な税務戦略を提案し、経済的な成功をサポートします。
税理士になるためには、厳しい試験の合格が必要です。この試験では11科目から5科目を選択し、合格する必要があります。受験資格には細かい規定があり、合格後には実務経験2年が必要です。税理士は筆記試験だけでなく、実際の現場での実務経験も要求されるため、高度な専門性を備えています。
「会計士」とは?
会計士とは企業や団体の財務における専門家であり、公認会計士として知られています。公認会計士の主な仕事内容は、監査です。
企業が作成した財務諸表の信頼性を確保するために、決算書のチェックや監査業務が中心となります。これには、会計、税法、会社法、会計監査など広範な知識が必要です。公認会計士は財務書類の正確性を保ち、国民経済の発展につなげることが使命とされています。
企業の財務諸表が適正かどうかを評価することは、公認会計士の重要な役割です。これにより、株主や取引先、社会全体が正確で信頼性のある情報にもとづいて意思決定を行うことが可能となります。公認会計士は、企業の持続的な成長と透明性を支え、信頼性のある財務情報を提供する職種です。
クライアント層としては、主に大企業や上場企業の監査を担当します。これは、これらの企業が一定の規模や影響力をもち、財務情報の公正で信頼性のある監査が求められているためです。公認会計士は高度な専門知識と経験をもちながら、クライアントの財務プロセスを評価し、法令や規制に適合するようサポートします。
公認会計士となるためには、公認会計士試験を受験する必要があります。この試験は短答式と論文式試験にわかれ、年齢や学歴の制限はありません。合格後は監査法人での実務経験が2年必要です。これにより、公認会計士は高度なスキルを身につけ、信頼性のある監査を提供するプロフェッショナルとなります。
それぞれ、どのような悩みをもっている人が相談すべき?
税務であれば税理士、会計監査であれば会計士ですが、そのほかの相談はどうでしょうか。それぞれに対する相談内容について紹介します。
こんな悩みなら、「税理士」に相談!
税理士に相談するべき悩みは、節税対策と相続に関するものです。とくに、中小企業の節税相談において、税理士との相性がよいといえます。税理士は税金に関する専門家であり、企業や個人事業主に対して法的かつ経済的に最適な節税戦略を提案します。中小企業の場合、優遇税制の適用についても豊富な知識を有しており、クライアントと密接な関係を築くことが可能です。
また、相続に関しても税理士に相談することが適しています。相続そのものの法的な効力や遺産分割については弁護士等の専門分野ですが、相続税の計算や相続税対策については税理士が専門知識を有しています。とくに、財産の評価や相続税の最適な支払い方法に関して、税理士の助言は非常に重要です。
こんな悩みなら、「会計士」に相談!
会計士に相談するべき悩みは、新規上場のサポートを受けたい場合です。上場には審査をクリアする必要があり、コーポレート・ガバナンスや内部統制などの専門知識が必要です。会計士は企業の財務に深い理解をもち、新規上場にともなう複雑な手続きや規制に適切に対応できます。企業が成功裡に上場するためには、会計士のサポートが欠かせません。
補助金の申請相談については、どちらに相談しても問題ありませんが、補助金に関しては中小企業者を対象とするものが多いため、税理士の方が取り扱い件数が多い傾向にあります。税理士は補助金の取得に関する手続きや条件に詳しく、中小企業の特性を理解しています。
まとめ
「税理士」と「会計士」は、それぞれ税務と財務に特化した専門家であり、異なる分野で活躍しています。税理士は主に税金に関する相談に応じ、節税や相続に強みをもちます。中小企業においては、税理士の知識が最適な解決策を提供し、一方で、会計士は企業の財務を監査し、新規上場を目指す企業にサポートを提供するでしょう。補助金申請についてはどちらでも相談可能ですが、中小企業に焦点を当てるなら税理士が適しています。適材適所でプロのアドバイスを受け、ビジネスの成功につなげましょう。