税理士を途中で変更したいときの注意点とは?スムーズな乗り換え方法もご紹介!
税理士と契約したものの「思っていたよりも効果が出ない」「費用面で不満が出てきた」といった悩みが出てくることもあるでしょう。そのようなときには、思い切って税理士を変更するのもひとつの手です。本記事では、税理士の乗り換えをスムーズに進める方法や、その際の注意点を詳しく解説していきます。
税理士を変更するべきサインとは?よくある不満とタイミング
企業が税理士の変更を検討するのは珍しいことではなく、多くの経営者がさまざまな理由で見直しを図っています。主な理由としては、税理士の対応に対する不満や、期待していた節税効果が得られないこと、自社の経営方針の変化、税理士報酬の高さ、そして税理士や事務所の体制変更などが挙げられます。
まず、税理士の対応が不十分で質問に対する回答が不明確だったり、税務処理が遅れるなどの問題があると、経営者は信頼関係に不安を感じます。また、節税に関しても、積極的な提案や実行支援が見られないと、税理士としての付加価値に疑問をもちやすくなります。さらに、会社の方針変更により、これまでの業務範囲やアドバイスでは不十分と感じた場合、その分野に強い税理士への変更を検討するのは自然な流れです。
また、報酬が見合わないと感じたときにも、コスト削減の一環として税理士変更が選択肢となります。とくに中小企業では、月額数千円の違いが年間では大きな経費削減につながります。最後に、担当税理士や事務所の体制が変わることでこれまでの対応品質が維持されない懸念が生じた場合も、信頼できる新しい税理士を探すきっかけになります。
税理士を変更する手順とスムーズな乗り換え方法
顧問税理士を変更する際には、いくつかの重要な手続きを適切な順序で行う必要があります。手続きの流れを把握せずに変更を進めてしまうと、切り替えがスムーズにいかず、税務処理の空白期間やトラブルが発生する可能性があります。
現在の契約内容の確認
最初に行うべきは、現在の顧問税理士との契約内容の確認です。契約書には、解約可能な時期や解約の条件、違約金の有無が明記されていることがあります。特定のタイミング以外での解約には制限がある場合もあるため、内容をよく確認したうえで、変更可能な時期に進めることが重要です。
解約の意思を伝える
次に、現在契約している税理士に解約の意思を伝えます。この際は、ていねいな伝え方を心がけ、できる限り円満な形で契約を終了させるようにします。
関係が悪化すると、必要な書類の返却や情報の引き継ぎがスムーズに行われなくなる恐れがあるため、感情的な対立は避けるべきです。解約が正式に受理された場合は、契約解除日を記載した書面を交わし、双方の署名や捺印をもらっておくと安心です。
書類の返却
その後、税理士に預けていた書類の返却を受けます。対象となるのは、決算書や勘定元帳、仕訳帳、試算表、領収書、給与関係書類、さらには過去数年分の会計資料など多岐にわたります。書類の返却漏れがあると、新しい税理士による業務の開始が遅れたり、過去のデータに基づく処理に支障が出たりするため、リストアップして漏れなく受け取ることが大切です。
新しい税理士との調整
最後に、新しい税理士との業務開始日と、現在の税理士の業務終了日を調整し、税務業務に空白期間ができないようにします。万が一の不安がある場合には、多少費用がかかっても早めに新しい税理士との契約を始め、データ移行や事前の業務引き継ぎを行うと安心です。
税理士変更で失敗しないためのポイントと注意点
顧問税理士を変更する際には、トラブルや業務の停滞を防ぐために注意すべきポイントがいくつか存在します。とくに重要なのが、税理士に預けている書類の確実な返却、最終業務日の明確化、変更手続きの計画的な実行の3つの観点です。
書類の返却
税理士に預けている書類は必ず返却してもらう必要があります。税理士が保管している資料には、決算書や仕訳帳、給与明細など機密性の高い情報が多数含まれており、情報漏洩リスクを回避する観点からも返却は非常に重要です。
また、新しい税理士がスムーズに業務を開始できるよう、過去3〜5期分の資料をそろえておくことが望ましいとされています。仮に税理士が書類返却に応じない場合には、税理士が所属する税理士会に相談し、対応を求めることが推奨されます。
現在の税理士の最終業務日の決定
次に、今の税理士の最終業務日を早い段階で決定しておくことも不可欠です。業務終了のタイミングが不明確だと税理士不在の期間が生じてしまい、税務処理が停滞したり、重要な相談ができなくなるなど、企業運営に支障をきたす可能性があります。
そのため、業務終了日と新しい税理士の業務開始日を事前に調整し、空白のないスムーズな引き継ぎを行う体制を整えることが重要です。
税理士の変更は計画的に行う
最後に、税理士の変更は思いつきで行うのではなく、将来の経営方針や税務上の課題を踏まえて、計画的に進める必要があります。
新しい税理士を決める前に、今の税理士に解約の意思を伝えていなかったり、逆に退任を伝えたあとに新しい税理士が見つかっていない状況では、手続きが停滞し、混乱を招きます。変更に向けては、希望する切り替え時期や、次の税理士に求める役割・スキルなども明確にしたうえで、段階的かつ戦略的に進めることが理想的です。
まとめ
税理士の変更は企業経営において重要な判断のひとつです。本記事では、よくある税理士への不満や変更を検討すべきサイン、スムーズな乗り換えの手順、そして失敗を防ぐための注意点までを解説しました。とくに契約内容の確認や書類の返却、新旧税理士の業務期間の調整といった具体的なポイントを押さえているため、実際に変更を進める際にも非常に役立つ内容です。計画的な準備を行えば、信頼できる税理士への乗り換えは、経営にとって大きなプラスとなるでしょう。



















