納税管理人の役割とは?税理士に依頼するメリットも解説!

公開日:2023/06/15  


納税管理人はどのような業務をするのでしょうか。どのようなケースで納税管理人の選任が必須とされるのでしょうか。本記事では、納税管理人を利用すべきケースや納税管理人を税理士に依頼するメリット、さらには利用する際の注意点を解説しています。海外に居住予定があり納税管理人の選任を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。

納税管理人が必要なケースとは

海外居住中の納税者に代わって、日本で納税関連の事務処理をする人のことを納税管理人といいます。納税管理人を必要とするケースを大きく5つにわけて解説します。

日本で所有する不動産における収入がある場合

日本国内に所有する不動産の賃貸や売却で得た収入があれば、国内源泉所得とされます。日本での確定申告が必要です。

住民税などの地方税納税義務がある場合

1月1日時点で日本国内に不動産を所有していれば、固定資産税の納税義務があります。また、1月1日時点で日本国内に居住していた場合は、住民税の納税義務も発生します。

相続税や贈与税が発生した場合

家族親族の逝去で相続財産を得た場合に発生する相続税や、個人から贈られた財産を得た場合に発生する贈与税は、海外居住中でも日本における納税を要します。

海外居住前に一定の所得がある場合

海外居住する都市の1月1日から出発日までの間に、日本国内で一定の所得がある場合は所得税が発生することがあります。原則的には出国までに確定申告を済ませ、納税する必要があります。確定申告書の提出と納税が間に合わない場合は納税管理人の選任が必要です。

日本国内の株式売却や日本国内の配当や利子を受け取る場合

証券会社の口座で国内上場企業の株式を所有し、日本国内で株式売却した際は課税対象です。日本国内の企業から配当や利子、権利使用料を受け取る際や租税条約によって減税・免税したいときは納税管理人が不可欠です。

なぜ納税管理人に税理士が適任なのか

納税管理人は、日本国内に居住していること以外はその他所定の資格や要件がないため、納税管理人を誰に依頼しても問題ありません。

しかし、内容によっては単純な事務作業だけで済まないケースもあります。確定申告書の作成や税務相談など税理士の独占業務を依頼する場合は、納税管理人は税理士資格の所有者であることが必要です。依頼内容が定まっていなくても、確定申告書の作成や提出、税務に関する処理を必要とするため、税金に関する専門家である税理士を選任することをおすすめします。

納税管理人が税理士であれば、スムーズに適切な処理がなされます。税理士資格のない一般の方に依頼すると、手続きの不備などが生じやすく、手間がかかる可能性があります。税理士に依頼すれば、納税にかかる全般の手続きを任せられるため、効率よく安心です。

選定時に必要な書類とは

納税管理人の選定時には、必要書類があります。選定時と解任時に必要な書類についてそれぞれ解説します。

納税管理人選定時の必要書類

納税管理人を選定する際は、納税者と納税管理人の両方の氏名・住所・連絡先などを記入した納税管理人届出書について、所轄の税務署または自治体の窓口へ提出しなければなりません。納税管理人届出書は、基本的には日本からの出国前に提出します。

万が一、すでに海外に居住している場合は、できるだけ早急に届出書を提出しましょう。この場合、届出書の提出は納税管理人の代行が可能です。

納税管理人解任時の必要書類

納税者が日本に帰国するなど納税管理人の必要がなくなったら、納税管理人の解任届出書の提出を要します。解任時も速やかに所轄の窓口へ届出書を提出しましょう。

納税管理人を利用する際の注意点

令和3年度の税制改正で納税管理人制度の拡充が報告されており、所轄の税務署長などが納税管理人の利用を求められるようになりました。納税管理人制度が拡充している昨今、利用する際の注意点を解説します。

所得控除の範囲に注意

納税管理人を利用する海外居住者は、国内居住者と比較すると所得控除制度の適用範囲が異なります。

海外居住者が認められる所得控除は、基礎控除・雑損控除・寄付金控除の3つです。

医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除の5つの所得控除は、納税者が出国前に支払った金額のみが控除対象です。出国後の支払い分は控除対象から除外されます。

不動産の源泉所得税

国内の不動産の賃貸や売却によって得た収入は、所得税及び復興特別所得税が厳正徴収されます。賃貸として貸し出す際は原則として20.42%の源泉徴収、不動産の売却の場合は売却代金×10.21%の源泉徴収が必要です。

申告書の記入ルール

確定申告書などに記載する氏名や住所は、納税者・納税管理人のいずれの分も記入が必要です。捺印は納税管理人の印鑑を使用しなければなりません。税金還付を受け取る場合、納税管理人名義の還付口座であることも必要です。

まとめ

海外居住している人や海外居住の予定がある人には、納税管理人の選任すべきケースがあることを解説しました。納税管理人は、納税者に代わって税務を処理する権限が与えられているため、税務のプロである税理士に依頼することがおすすめです。また、税制改正されたことにより、納税管理人の利用が求められています。海外移住の予定がある方で納税管理人の選任が必要な場合は、出国前に依頼しましょう。不安な方は、一度税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

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